なぜお盆をするのですか?
■なぜお盆をするのですか?
お盆はご先祖様の霊を迎えるために行う行事です。お盆を行う意味の一つは「亡くなった方 の霊をお祀りすること」にあり、ご先祖様との命のつながりを確認する日となります。 仏教ではお盆のことを「孟蘭盆会」と言い、『孟蘭盆経』というお経がお盆行事の元となって いますが、そこに書かれていることは、亡くなった親を供養すると同時に、僧侶を供養すること です。 『孟蘭盆経』では7月15日を亡くなった親への供養する日と説いています。 つまり、現在の7月15日、8月15日のお盆の日取りは『孟蘭盆経』によるところが大きいということ になります。 日本でお盆の行事が初めて行われたのは606年と言いますから、聖徳太子の時代にはすで にお盆行事があったことになります。 また、日本には元来祖霊信仰があり、お盆とお正月の時季はご先祖様の魂が帰ってくる日とされ ていましたので、仏教が伝来する以前からご先祖様を迎える行事はあったようです。 歌人として知られる藤原定家(1180~1235)の日記『明月記』には現在の盆提灯の一つである 高灯龍がすでに使われていたと記されています。 お盆が行われる旧暦7月15日は中国では中元と呼ばれる日です。中元とは夏の贈り物 「お中元」の起源ですが、中国ではこの日、自らの日常を反省し、一日中火を焚く習慣がありました。
■初盆(新盆)とはどのようなお盆ですか?
亡くなられて四十九日法要が終わった後、つまり忌明け後に初めて迎えるお盆のことを特に 初盆、あるいは新盆(しんぼん・あらぼん)と呼んでいます。初盆の際には親類や知人が集まり、 特に丁寧に供養をするのが習わしです。 初盆の際には白木で白い火袋の提灯の他、特別な提灯を用いる地域もありますが、最近では 絵入りの普通の提灯を用いる地域も増えています。 初盆の際には特別な初盆用の供養具を用いる地域もあります。 関西地方の一部では「新棚」と呼ばれる小型のお社の中に経木塔婆を祀ったり、精霊船にやは り経木塔婆を乗せたりします。 これは初盆を迎える霊が「新仏」[荒魂]と呼ばれ特別な精霊とされるためです。
■盆棚・精霊棚は何故作るのですか?
お盆の時に特別に作られる棚のことを盆棚、精霊棚、魂棚、呼びます。精霊棚はご先祖様を 迎える舞台となり、ご先祖様のお位牌中心にして様々なお供えをします。 精霊棚は屋内に設置する場合と屋外に設置する場合、あるいは屋内外に設置する場合とが あります。また、地域によっては屋外に水棚と呼ばれる棚を設けます。
■精霊とは何ですか?
精霊は「しょうりょう」「しょうらい」「しょらい」など様々な呼ばれ方をします。ご先祖様の霊、 無縁様の霊など亡き人の霊のことを言います。また、初盆の方の精霊を特別に[新仏][新精霊] と呼び、特別な盆棚や供養具を作る地域もあます。
■盆飾りの牛と馬の意味を教えて下さい。
かつて牛や馬は農耕生活の中で欠かせない動物でした。 盆棚に飾る牛や馬はそうした生活を反映したものです。 お盆の時には牛や馬を休ませ丈夫であるように祈った、とも言われます。 盆棚の馬や牛はキュウリやナス、藁や苧殻などで作られますが、現在では先祖の乗り物として 解釈されるのが一般的です。 キュウリやナスで馬や牛を作り盆棚に飾る習慣は江戸時代にはすでに見ることができます。 俳人として有名な小林―茶の句には 「すね茄子、馬役を相勤けり」 「瓜の馬御仏並におがまるゝ」(1823年) というものがあります。 また江戸時代の文献には「七月十三日から十五日まで、家々ではその先祖を祭り、そこには 必ずナスの牛とキュウリの馬を飾る]と記したものもあります(藤森弘庵『春雨楼紙紗』1851年)。 ナスはその形から牛となり、キュウリはその形から馬と連想されてきましたが、実は地域によって ナスが馬ということもあります。 また、複数を飾ったり、牛か馬のどちらかを飾るという場合もあります。
■盆棚・精霊棚へのお供物について教えて下さい。
盆棚へのお供物は地域によって異なりますが、大まかに言って次のようなものがあります。 (1)稲・アワ・キビ・トウモロコシ等の穂(吊される物) (2)里芋などの農作物(里芋の葉は供え皿にもなる) (3)ほおづき・ハマナスなどの赤い実(吊されるもの) (4)素麺やうどんなどの麺類 (5)水の子 (6)お団子 (7)供え皿となる蓮の葉(里芋の葉) (8)盆花 『孟蘭盆経』ではお釈迦様が次のようなものをお盆のお供物として挙げています。 「具飯百味五果汲濯盆器。香油錠燭。」 百味五果とは様々な食事と果物のことです。そしてお香(香油)と錠燭(灯火)を供えなさい という意味です。 そしてそれらは盆器に盛りなさいと指示されています。 これは仏具であり、場合によっては蓮の葉や里芋の葉ということになります。
■ほおづきを飾るのは何故ですか?
盆棚やお仏壇の前にほおづき(酸漿)を下げる地域があります。ほおづきは「鬼灯」とも書かれ 死者の提灯であるとも言われています。 東京・浅草寺では7月9日・10日の両日行われる「ほおづき市」が有名です。
■床置き型の盆提灯と吊す形の盆提灯、どちらを選べば良いですか?
盆提灯には吊すタイプの製品と、床に安置するタイプの提灯とがありますが、どちらでも大丈夫 です。 吊す形式の盆提灯には岐阜提灯(壷型)・御殿丸・住吉・博多長などがあります。床置型の 製品には大内行灯と呼ばれる三脚形式の製品の他、最近ではマンションなどにもマッチする デザインの製品もあります。 狭いスペースの場合には、吊すタイプの盆提灯の方が良いかもしれません。 地域によってよく使われる提灯もありますので、贈り物にする場合には確かめた方が良いでしょう。
■盆提灯はとこに飾るのですか?
盆提灯は盆棚・精霊棚の前もしくは仏壇の前に飾るのが基本です。迎え火、送り火としての 灯火にする場合には玄関もしくは窓際に飾ります。
■盆提灯はいつ購入すれば良いのですか?
お盆の時に用いる提灯としては6月~7月が中心となりますが、一年を通してお買い求め頂く ことができます。 地域によっては葬儀時に喪主の方に送ることもありますので、この場合も通年のお買い求めと なります。
■盆提灯は一対で飾らないといけないのですか?
盆提灯は一対を基本として飾る習慣を持つ地域もあり、一対で飾るのが理想です。 ただし、スペースの問題もあり、飾る場所が狭い場合には一対でなくとも大丈夫です。
■盆提灯は自分で購入しても良いのですか?
地域によって、盆提灯はご親族の方が贈る風習が強い場合も ありますが、盆提灯はご自身で用意されても、贈られたものでも、 どちらでも構いません。贈り物にする場合には、相手側の意向を 確認した方がよいでしょう。
■初盆用の提灯について教えて下さい。
初盆の際には、白木地で白い火袋を持った提灯を飾る地域が多いようです。 盆提灯と同様の形式の製品の他、白木の屋根付灯寵や六角灯寵の場合もあります。 初盆時ににぎやかな飾りをもった切子灯寵を飾る地域もあります。 ただし、白木提灯を使わない地域、屋外のみ白木提灯を用いる地域もあります
■成田流 お迎え提灯(手丸提灯)って?
お盆の入りと送りの際に、家からお墓までご先祖様をお迎えやお見送りする際の提灯。一般的には家名や家紋をお入れして作成するのですが、全国的にみても写真のように正面に家名を入れるケースが多いのですが、成田では持ち手側にお入れするケースが多く見られます。これは言われは定かではありませんが、お盆の時期は各ご家庭でご先祖様を一斉にお迎えにいくことになり、お墓に置いておくと同じ家名の場合分からなくなってしまうというようなことで持ち手側に家名を入れるようになったとも言われています。これは独特の慣習によるものです。
どちらに家名を入れるかは自由であり、間違いではございませんのでご安心ください。
持ち手側家名 正面家名
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